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名古屋人ランナーのご当地な日々

走った自分へのごほうびとしてご当地スイーツ&グルメを食べまくる、ダメダメな40代ランナーの日常。

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陸上ロボットが自我を確立するまでの軌跡「Run! Run! Run!」

なぜ小学生や中学生は、マラソン大会の時に仲のいい子と「いっしょにゴールしようね~」と約束するのでしょうか?

この手の約束ってたいてい守られることはありませんよね。走るペースは人それぞれですから、普段どんなに仲良くしていても、足の速い子は遅い子をどんどん置いて行って先にゴールしてしまいます。

そもそもマラソンというものは、サッカーやバレーボールのような団体競技とは違う、孤独なスポーツです。最初から最後まで頼れるのは自分の体力と精神力のみ、駅伝を除けば、自分のミスを仲間がフォローしてくれたり逆に自分がフォローしたりということもありません。それでも、子供たち(大人でも)は長くつらいマラソンの間、仲のいい子が自分の横を走っていてくれることを望みます。

それはなぜか?という答えを示してくれるのが、桂望実による陸上小説「Run! Run! Run!」(文藝春秋)です。


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桂望実の本は元気が出る。
桂望実の作品は、織田裕二主演で映画化された「県庁の星」(幻冬舎)などが知名度が高いですが、とにかく読後感がさわやか!


物語のラストまで行っても、嫌な人は嫌な人のままだったりするし解決しないままの問題もある、そういう現実を認めたうえで、それでも人間っていいな…とか、よし明日もがんばろう!という気持ちにさせてくれる作品が多いです。

特に女性には「ハタラクオトメ」(幻冬舎)をおすすめしたいです。
 

デブだし特に仕事ができるわけでもないし、一見してあんまり取り柄のないOLである主人公「ごっつあん」が、徹底的なポジティブシンキングや人を信頼する姿勢のために周りの人々を癒し、いい影響を与え、最終的には女性ばかりのプロジェクトチームという難しい仕事まで成功に導いてしまう展開にはワクワクが止まりません。

このごっつあんの一番の取り柄は、きっと「物をおいしそうに食べる」ことだろうと思います。仕事がうまく行かずに落ち込んでいるエリートOLに自分のお気に入りのお菓子をあげたり、プロジェクトチームの仲間をよく知りたいからと言って自分の家に招いて手料理をふるまったり、仕事では直接役に立たないにしろ、彼女がこうして積極的に潤滑油の役を果たすことで、最初は反発し合っていたメンバーの強い個性がうまくかみ合って、実力を発揮していくことになるのです。

まあ、誰もが彼女のやり方を無条件でありがたがるわけではなく、そういう仕事とプライベートの境目がないのはいやだと言ってきっぱり一線を引く同僚もいるあたりが何ともリアルですが、私は正直、こんな同僚すごくほしいです。癒される(*^^*)

そんな桂望実作品にはまり始めた時期とマラソンを始めた時期が近かったので、当然マラソンものである「Run! Run! Run!」も飛びつくように読みました。


あらすじ
主人公の優は、名門陸上部のある大学に入ったばかりの、将来を嘱望されるエリート長距離ランナー。かつて箱根駅伝に出場しながら途中棄権したという苦い過去を持つ父親と文字通りの二人三脚で、わずか10歳のころから厳しいトレーニングを一日も欠かさないマラソン漬けの生活をしている。大学側の期待も大きく、彼専用の支援チームまで結成されるが、その矢先に兄が事故とも自殺ともつかない状況で亡くなってしまう。兄の死にショックを受け、さらに、兄の自殺の原因となったかもしれないある秘密が自分のランナー生命をも断つかもしれないという疑いを抱いてしまった優は今まで通り走ることができなくなり、心ならずも、大して才能がない(と彼が評価している)同期・岩本のサポートに回ることに。しかし、これをきっかけに、彼を敵視していた周囲の目が変わり、彼自身もマラソン一辺倒だった考え方が次第に変化していく…


父親の果たせなかった夢を背負っている優は、毎日の食事も徹底したカロリー管理を行い、一日も欠かさず脈拍を計って記録し、一日のほとんどの時間を走り込みや、走る時のフォームやリズムを一定に保つための筋力トレーニングに費やしています。

その反面、マラソンに役立たないものは仲間意識やメンバーの和、さらに恋愛ですら「すべて無駄」と切り捨ててしまいます。マラソンにしても一位以外の結果には意味がないと考え、優勝できない選手、全国レベルで通用するだけの実力のない選手が走るのは時間の無駄とすら思っています。

部の飲み会にも参加しないし雑用も引き受けない、協調性に欠ける態度が反感を買っていじめに遭っても「そんな無駄なことに労力を使っているからお前らは選手として大成しないんだ」とばかりに平然としています。そして、余計に周りの怒りを買って孤立を深めていきます。

巨人の星の星飛雄馬(&ライバルのアームストロング・オズマ)はしばしは「野球ロボット」とたとえられますが、彼らに勝るとも劣らない陸上ロボットっぷりです。若い人には通じなさそうなたとえですが。

ただ一人、高校時代から優の走りに憧れていたという同期の岩本だけが、彼を何かとかばったり気遣ったりしてくれますが、それすらありがたがるどころか、「自分のトレーニング時間を削ってまで何をやっているんだ、まあどうせ大して才能もないんだからいいが」とひどいことを平気で考えています。


人間には壁にぶつかる経験が必要。
自分の才能に絶対の自信があるからこそ、敵意にしろ好意にしろ周りの反応に対して無関心でいられるわけで、これはある意味では強さですし、一流のアスリートとして大成するにはこうした傲慢さが必要だとも言われます。しかし、挫折を経験したことのない人間の強さはもろいものです。事実、彼は兄の死をきっかけに心身のバランスを崩し、生まれて初めて自分の思うような走りができない、思った結果が出せないという経験をします。

今まで彼の走りを支えてきた家族関係が崩壊し、選手生命を絶たれるかもしれないという状況になって初めて、「自分は何のために走るのか」という疑問に直面します。今まで、父親の望みをかなえることが自分の望みだと思い込んでいただけだということに、彼はようやく気づくのです。

そんな苦しい時期に一番支えになってくれるのが二軍選手の岩本で、風邪でダウンした優のために雑炊を作ってくれたりします。優とは対象的に協調性があって人が好く、「ハタラクオトメ」のごっつあんとの共通点を感じさせる人物です。

一人で秘密と悩みを抱えて走れなくなった優に、陸上部の指導陣からは岩本のサポートに回るようにという指示が出ます。内心不満たらたらながらも引き受けたことで、周りが「あいつも案外いい奴なんじゃ?」と思って(不良が子猫を拾ったりするといい人に見える法則ですな)だんだんフォローしたり気遣ったりしてくれるようになり、優自身もそれに反発を感じながら次第に仲間を大事に思い、それまでの価値観とは全く逆に「最下位でもいいから完走してくれ」と我がことのように気をもむようにまでなっていく展開は胸熱です。

そして、成績が今一つの仲間を心から応援できるようになったとき、彼は自分が父親の望みや自分の抱える秘密とかかわりなく、純粋に走ることが好きだということを自覚できるのです。
 
 
壁を乗り越えるには人の情が必要。
人間は友達や家族、愛する人がいても本質的には孤独で、生まれるのも死ぬのも結局は一人だというのは、哲学や宗教でよく言われるところですが、だからといって一生誰とも関わらずに生きて行こうと思う人はめったにいないでしょう。

マラソンも、一人で走って一人でゴールする競技です。それでも、同じ目的を持つ仲間や、応援してくれる人の存在が無意味になるわけではありません。

特に私のようなヘタレランナーは、正直、マラソン部に所属していなければ練習を続けるモチベーションを維持することすら難しいです。最低でも週に一回は練習しないといけないのに何かと理由をつけて今日はやめとこうかな…と思ったり、走っていてちょっとえらくなったら(=疲れたら)、大して走ってもいないのに今日はここまでで切り上げようかな…と思ったり。

そんな時に支えになるのは、周りの人ががんばっているんだから私も!とか、見に来てくれる人の前で途中リタイアとかしたくない!という気持ちだけです。

そして本番には、ボランティアや応援の方から「がんばれ」の一言をいただくだけで、どんなに疲れていても張り切って、ちょっとスピードが上がったりフォームがしゃっきりしたりします。元々の基礎体力がないから長続きはしませんが、少なくとも声をかけてくださった方の視界から出るまではがんばらないと!とモチベーションが上がります。というかぶっちゃけ、素人同然のランナーにとっては、フルマラソン後半なんて声援がなかったら走れるものじゃありません。

ですのでボランティアの皆さん、見に来てくださる皆さん、名古屋ウィメンズマラソン当日はどうか温かいご声援をお願いします m(_ _)m
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プロフィール

HN:
けだま
性別:
女性
趣味:
マラソン、食べ歩き、読書
自己紹介:
マラソン歴…約3年。
年齢…40代。
目標…サブ4.5!
名古屋ウィメンズマラソン2015のPRランナーとして始めたブログです。
2016年大会では年齢制限が厳しくなったため(悲)PRランナーになれませんが、引き続きマラソン・スイーツ・ご当地キャラなどの名古屋情報をアップしていきます。

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